肝っ玉オカン道

私が私の肝っ玉オカンになって私を育てていく記録

色々あることが日々なのだ

お久しぶりにしておりますです。

 

毎年年末に必ず観る番組「クリスマスの約束」で、宇多田ヒカル小田和正が「たしかなこと」を歌ってました。

 

結婚式でほぼ必ずといっていい程かかる曲だし、なんかミーハーな気がして今まであんまりしっかり聴いたことなかったんですけど。

今回初めてしっかり聴いたら、何といういい歌、詞なのでしょうか。涙を堪えることができませんでしたよ。 

 

いちばん大切なことは 特別なことではなく

ありふれた日々の中で 君を

今の気持ちのまゝで 見つめていること

 

特にこの歌詞がグググっときましてね。

 

ありふれた日々ってさ、いろいろあるんだよね。

何もないこと、昨日の延長の今日で今日の延長が明日 じゃなくてさ。

楽しかったり悲しかったり、笑ったり泣いたり、いろいろあることが日常でさ、それでいいんやん。

 

肩ひじ張らずに、そんな、いつも以上に何もない日常に努めなくていいよ。

いろいろあって、それが日常だよ。

 

 

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年末に、父が亡くなりました。

病気がちな父だったけど、それでも突然のことでした。

 

バタバタと帰り、通夜、葬儀を済まし、父の荷物の片付けや、母が早急に必要となる手続きを手伝ったり。

 

父が亡くなったという実感はないまま、時々「あぁ、居ないんやった」と確認する時間。

悲しさや寂しさ、生前の父に抱いてた想いが、炭酸の泡のように浮かんでは消え、まとまりがつかない。無性に寂しく悲しくなって声をあげて泣いた夜もあったけど、その実「何が何やらよく分からん」と言うのが本当のところでした。

 

圧倒的に眠りが浅く、ずっと風邪気味やし、食欲もわかないけれど、常に子供達の姿が横にあって、

3度のご飯に、オムツ替え、乳を与え、「ママなんでー?」に応え、ひらがなの練習を一緒にして、

こんな時でも、私にはいつもの日常を守らないといけない、子供たちと言う存在が居るのだから!

と、「いつも通りしないと」「寝ないと」「食べないと」と必死で努めていました。

 

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自宅に帰って、ピノ子の幼稚園も始まりいよいよ日常が戻って来てしばらく経った頃。

 

夫との些細なやり取りの中で、無性にこみ上げてきて、

「つか、私は親死んだんや!いつもと違うんやから、こんな時はとにかく労って欲しい。いつも通りを求めないで欲しい」と、吐き出しました。

 

しかし、夫は全然いつも通りを求めてない。いつも通りにしなくてはいけないと思ってるのは私自身やんか!と、言いながら明確に気がついてしまったわけで。

 

いつも以上にいつも通りであるように、慎重に毎日を送っていました。

いつもよりマメにおかずを作り、いつもよりマメに掃除をし、いつもよりマメに子供を公園に連れて行き、いつもより、いつもより。

そして平行して、いつもよりできてない自分を責めてました。

夫に御門違いの罪悪感を感じて、甘える事も上手くできず、なんだか妙な閉塞感の中、上記の言葉に至ったわけです。

 

言葉を夫に吐き出しながら、

 

いつも通りじゃ無くてもいいんや。人生で初めてで一度きりの経験やん。父親が死んだんやもん。

少し落ち着いて喪に服す時を過ごそう。

 

と思いました。

 

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翌日、ピノ子を幼稚園に迎えに行った帰り、友人にその話をしました。

 

いつもの日常を送ろうと努めてたけど、頭の中では父の死が24時間離れなかったこと。

父のことだけでなく、母のこと、兄弟のこと、いろんなことが頭をぐるぐる巡ってること。

悲しさが追いついて来ないこと。

子供達と過ごす時間が精一杯なこと。

少しゆっくりしようと思うこと。

 

取り留めなく、ただ浮かんでくる言葉を発してる私を、ただ黙って聴いてくれた友人たち。

そして、最近の私を見て頑張りすぎではないかと心配してたこと、やっと話してくれて嬉しかったと、ただ聴いてくれました。

 

こんな風に、自分を話せる友達ができたこと、そしてこんな風に見守ってくれる友達が居ること。

なんか、それだけで私の日常は価値があるなぁとしみじみ思いました。

 

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その夜、初めて父の夢を見ました。

 

どっかの店でご飯食べる約束してて、いつも約束には必ず早めに行く父が案の定早く店に来てて、

いつも通り私たちは父を待たせてて。

店に入ったら、父が待ちくたびれて寝てたって夢。

 

あんまりあるある過ぎて、リアルでね。起きて思いました。

 

死んだけど、死んでないんやなぁ。

 

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夫と友達に吐き出した翌日、

熱が出ました。咳が出ました。鼻水が出ました。月の物が出ました。

 

久しぶりの高熱にヒーヒーしたけど、身体って正直やなぁと惚れ惚れしました。

 

結果、ピノ子もコボちゃんも熱が出て、調べたらインフルエンザやったんですけど、大人になって初めてのインフルエンザが、今回かぁ。出さなあかんもんいっぱいあったもんなぁ。

とか、脳みそ沸騰する位の熱の中、思いました。

 

と同時に、思った通り、ゆっくり過ごす時になりました。

 

ひとしきり熱が出た後、

それまでぐるぐる考えてた悲観的な思いや、考えてもどうしようもないこと、そして「私がやらなくちゃ」という思考の癖がグンと抜けて、楽になってました。

やっぱり身体って、良きに計らってくれるなぁ。

 

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私には夫と子供達との日々があって。

 

父が居た生活は日常では無かったけど、父はいつも居たわけで。

まだ実感わかないけど、たまに「死んだんやなぁ」と思う。

 

今のところはそれでいい。

今に至るまでにもいろいろ逡巡したように、これからもいろいろ思うんでしょうね、きっと。

 

それをそのままで受け容れていく。

受け容れられないこともあっていい。受け容れられないんだと理解する。

 

毎日生きてるから、風邪ひいたり、喧嘩したり、怒ったり泣いたり悲しんだり、笑ったり、楽しかったり、とにかくいろんなことがあって、日々なのや。

 

何もないことに、そんなに慎重にならなくていいやん。

 

いちばん大切なことは 特別なことではなく
ありふれた日々の中で 君を
今の気持ちのまゝで 見つめていること

 

 

肝っ玉オカン道は続く